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この「家訓・家憲ドットコム」は、ファミリービジネス(同族企業)のオーナーをはじめとしたファミリービジネスに携わる方向けに、「家訓」や「家憲」の奥深さをご紹介し、みなさまのビジネスに役立てていただくことを目的に立ち上げました。

家訓の成立――商家の家訓は“工夫の集大成”
家訓とは、もともとは武家において、“子孫への戒め”として当主が書き残したものでした。江戸時代に入ると、商家でも、商売をさらに盛り立て存続するために、次世代に向けて「遺訓」「家訓」などと称して、書き残されるようになりました。
商家の家訓には、厳しい環境の下、家名を守り、商売の永続性に向けた“工夫の集大成”を記したものが多いといわれています。

事業の承継と家訓・家憲とのかかわり
多くの長寿企業 ※1の存在を誇り、また産業全体に占める中小企業hirabayashi01の割合・そのうちのファミリービジネスの割合 ※2も高い日本。長く事業を継続している企業では、家 ※3に代々伝わる家訓・家憲を有することが珍しくありません。
現代のファミリービジネスにとっても、商家の家訓や家憲には、ビジネスの継続・飛躍のためのヒントが大いに詰まっているといえるでしょう。

家訓・家憲編纂士の平林秀樹が、家訓・家憲とは何か、また個別の家訓や家憲について、ご紹介・解説してまいります。

 


※1「長寿企業の数」
創業から200年を超える企業は全世界で8,785社、うち日本には半数近くの3,937社が存在するといわれている(日本経済大学後藤俊夫教授の講演「ファミリービジネス繁栄と永続のための先人の教え」2013年2月9日より)
※2「中小企業の割合とそのうちのファミリービジネスの割合」
日本では中小企業の占める割合が99.7%にのぼり、またそのうちの96.7%がファミリービジネスといえる(中小企業庁『中小企業白書』2014年版より)
※3「家」
このサイトでは、本家のほかに、分家(兄弟等血縁をベースとする)、別家(奉公人の独立後の家)も大きく一つの「家」と考える

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家訓・家憲の定義
「家訓」とは、「家の管理について心得ておくべき教訓のようなもkakenseikanの」であり、「家憲」とは「相続・分家など家制の基本を具体的に定めたもの」である。ただし、家憲の条文には、家訓的なものも含まれていることが多い。家訓・家憲は、いずれも商家の「家法 ※1」のうちに数えられるが、その特徴を明らかにすることでそれぞれの商家の性格が明確になる――近現代経営史の研究者安岡重明氏はこう説いています。このサイトでは、安岡氏の定義に沿って、家訓・家憲を区別して扱います。

 

家訓――商売を存続させていくための“工夫の集大成”
江戸時代に入って登場する商家の「家訓」には、変化の激しい、武士を中心とした社会で訪れる危機に際しても、家を守り、商売を存続させてくための“工夫の集大成”が記されています。主として、生き方や考え方、いわば心をテーマに、子孫に向けて書き残されたものであるといえます。

家憲――家制の基本を具体的に定めた“ルール集”
一方、「家憲」は、経営母体である家(ファミリー)の合意事項を明示しています。その内容は、一族が重視する価値観のほかに、家の統治システム(ファミリーガバナンス)として、相続、分家と別家の関係、承継や婚姻など多様な決め事、討議事項が含まれた“ルール集”といった性格を持ちます。

商家の「家訓」・「家憲」には、時代を超えて存続・発展を目指すビhirabayashi02ジネスのヒントがあるといえるでしょう。

本サイトでは、みなさんにぜひ知っていただきたい家訓・家憲について、家訓・家憲編纂士の平林秀樹がご紹介・解説していきます。

 

 


※1「家法」とは
安岡氏によれば、①家訓 ②家憲の他に、③店訓:店運営の心得ともいうべきもの、④店則:店の運営、業務の執行に関する具体的指針および規則、⑤使用人規則:奉公人や別家に関する規定、以上の5つを総称して「家法」と呼ぶ。
出典:安岡重明(1978).「商家における家憲の成立(試論)――住友家法のかくれた部分との関連において」『社会科学』24,1-15,同志社大学人文科学研究所。

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プロジェクトを組み、家訓を編纂しませんか。家訓をつくるプロセス、完成した家訓の活用を通じて、ファミリーの思いや価値観を共有し、「和」と「力」を高めていきます。ファミリービジネスの永続性に向けて、力強い未来を築いていくための力になります。

家訓の編纂事例

◆製造業(創業100年超):ファミリーで言い伝えとなっている
 さまざまなものを「見える化」・「再整理」して、家訓を編纂

・後継者である兄弟従妹を中心とし、親世代がサポートに回る家訓作成プロジェクトを発足
・さまざまな年代、ファミリービジネスに関わった多くの方々からヒヤリング
・多くの意思決定とその判断のベースとなった考え方を見える化
・次世代後継者は初めて知る出来事意思決定を通して、自社の歴史を深く理解
・家訓・家憲編纂士 平林の知恵と経験で、抽出された情報を整理・構築
・言い伝えを言語化したうえで、プロジェクトメンバーが父親世代とディスカッション
・ディスカッションによって明確になった言い伝えの背景にある考え方戒めの意味を、後継者世代と父親世代で共有化
・出来上がった家訓を披露する場で、久しぶりにファミリー全員が終結
・作成した家訓を名刺サイズのカードにして常に携帯、何かあった時には参照

◆小売業(創業70年):【後継者育成】
潜在化していた自社・ファミリーの強みや、意思決定の基準について、先代、先々代、番頭などのインタビューを通して、整理・構造化

◆商社を中心にしたグループ企業(創業100年):
【後継者育成と次世代幹部育成の取組み】

後継者がグループ総帥となったタイミングで、次世代幹部候補とともにグループビジョンを作成

このほか、家訓・家憲編纂士 の平林秀樹が代表を務める(株)グラスティでは、日本のファミリービジネス特有のさまざまな問題点を明らかにし、解決策(仕組み・仕掛け)をコンサルティングいたします。詳細はこちら

家訓・家憲編纂士
平林秀樹のプロフィール
(株)グラスティ代表取締役 一般社団法人ファミリービジネスアドバイザー協会 執行役員・フェロー ファミリービジネスhirabayashi03アドバイザーの資格を持つ。
1958年生まれ。慶応義塾大学卒業後、(株)リクルート入社、(株)リクルート映像に配属。コンサルタントおよびメディアプロデューサーとして、トヨタ自動車の販売会社の経営改革活動、人事制度改革推進等に携わる。
2006年(株)グラスティ設立。「理念と経営と人財がリンクした、組織の活性化と人的資源開発」を中心としたコンサルティング業務を展開。
2008年以降、老舗ファミリービジネスのコンサルティングを行うと同時に、ファミリービジネスの研究を開始。
FBAA(一般社団法人日本ファミリービジネスアドバイザー協会)の設立とともに、執行役員として参画。現在は、大学院で老舗企業の企業理念と家訓の関係を研究中。
[共編著]
ファミリービジネス白書企画編集委員会編(2016).『ファミリービジネス白書 2015年度版――100年経営をめざして』同友館。